甘い刺激をこの手に。
日差しが暖かい日の午後、
山奥にあるカフェへ入った。
木の香りがする空間で、時がゆっくりと流れていた。
オーダーしてから、沈黙の 5 分間。
その間、私の脳裏には、想像できるうる範囲でゆずと向き合い、
過去の「ゆずごと」を脳裏に浮かべながら待っていた。
店員がゆっくりと歩いてくる。
「ゆずソーダです」
グラスの中にいる小さなゆずのツブツブが私に話しかけてくる。
「しゅわしゅわ、最高よ」と、聞こえもしない言葉を感じ、
うん。疲れているな。と、ふと気づく。
ひと口目、ストローを通り口の中がゆずで満たされ、脳がシャキッとした。
もう一口、もう一口と自然に体が動いていた。
キンとした氷の刺激。飲み終えるのもあっという間。
仕事や家事、人付き合いなど、全てのことを忘れた瞬間。
これは、自分へのご褒美時間なんだと、勝手に思った。
期待を裏切らない味。いや、それ以上で、良いこと、嫌なことも忘れ、
ゆずソーダが私の体に入り、スーッと心が満たされていった。
あたりまえだけど、そこがおもしろい。
スペシャルゲスト:岩佐知布由(インテリアスタイリスト)人見太一(作業療法士)柳瀬久美子(料理研究家)イマココ(パン屋)等 写真:田中舞
工房YUAIの創作活動 に お い て 支 援 員 と利用者は密に関 わ っ て お り 、 支 援 員の提案 や ア イ デ アは創作物の色彩や 形状 に 大 き く影響 す る 。 支 援 員は利用者 ひ と り ひ と りの特性や特徴 に 合 わ せ て 素 材 、描画 材 、 モ チ ー フ 、 道 具 、 治 具 を 用 意 し提供 す る 。利用者 が そ れ に興味 が あれば提案 に乗っ て く る し 、興味が無 け れ ば そ れ で 終 わ り で あ る 。 そ う し て出来上 が る創作物 は 、 「 支 援 員の意思 1 」 + 「利用者の意思 1」=「2 」 という物なの だ ろ う か 。 も し 「 1+1 = 」 という公式 だとす る と 、 同 じ 環 境 を提供 すれば違う 支援員 だ っ た と し て も毎回 答 え は 「 2 」 に な る だ ろ う 。 し か し 彼 らは支 援 員 そ れ ぞ れ と 違 った関係を 築いている 。人と人な ので当 た り 前 の こ と だ が 、気が合う 人もいれば合わない人もいる。敬っている人もいれば悔っている人もいる。つまり、たとえ同じ環境が揃ってい たと し て も 、 支 援 員 との関係 に よ って生ま れ て く る表現は 違 っ て く る 。 そ う 考 え る と 、 イメー ジ と し て は 「青+ 黄= 緑 」の方が近い か も しれな い 。一見1+ 1 と大差な い よ う に 見 え る か も しれない が 、そこ に は 大 きな違い が あ る と私は思っ ている 。 日常生活 に お い て 、 私 た ちは時 に や り た く な い こ と に も 取 り組ま な く てはい け な い こ と が あ る 。 そ の 時 ど う 向 き 合う か に よ っ て 、 自 分 に 還 元 さ れ る経験値や体 験 、 何 よ り結果が 変わっ て く る 。 ど う せ 同 じ 時 間 を 過 ご す な ら 、 何事 に も 全 力 で取り組みた い も の だ 。 し か し 、何か に 全 力 で取り 組 む こ とは意外と 難 し い 。興味 や モチベ ー シ ョ ン は人それ ぞ れ 、 そ の時その瞬 間 で違う か ら だ 。 大 竹 さ んはど ん な 時 も全力 だ 。 食 事 も 、 散 歩 も 、 挨 拶 も 、 歌 も 、 野 球 も 、 創 作 も 。創作支援 に お い て 、私の魂が ザラザ ラ (良い意 味 ) す る瞬間 は 、 全 く 予想と 違 った展開 に 遭 遇 した時 だ 。 意 思 と意思が す れ 違 っ た こ と で 生 ま れ る表現 は 、 き っ とお互いの 驚 き と 興 奮 を はらん でいる 。 大 竹 さ んはい つ も 全 力 で す れ 違 っ て く る 。全力だ か ら こ そ相手が 誰 で も ど ん な 物 で も 、そこ には人の心を動か す何かが生まれる 。 そ し て その一つ一つは必ず 違 っ た 表 現 となっ て 現 れ て く る 。 この関係は掛 け 算 で も割り 算 で も な く 、 や っぱり 足 し算なの だ ろ う 。 そ し て それは一対一 だ っ た と し て も 、 そ の 和は 2では な く緑や紫や橙なの だ 。
今日は、人生の中にあるデザートのような1日。
〝ひとりじゃない やわらかさに包まれる。 甘く人肌のクリームを頬張り、 歌と火が消えたとき。 ろうそくの火が呼吸と共に踊り回る。 和やかな雰囲気を感じる。 親しい人からは、やさしい言葉、温かい視線、 歌が流れるこの時間は、幸せを感じる瞬間である。 愛と食べ物の話は有名だ。 〞
と、自己肯定感に包まれる。
今日も、明日も。毎日が特別。Happy Birthday。
鋭い感性を持つ表現家たちと工房 YUAI が交流した。
障がいと向き合い、そこに潜む制限の枠から生み出されるアイディア。
これからのスタンダードになりえるであろう、未来につなぐお話。
EAT
物や形は、良くも悪くも、視覚、聴覚、味覚などの情報を通じて
閉じていた記憶に語り掛ける。
思い出の一品から、
今はもう遠く離れた、大切な人との記憶を呼び起こす。
家族と誕生会、ケーキでニンマリ。
親友と旅行中に、お酒でほんのり。 3 時のおやつに、アイスをペロリ。
嬉しいこと、感動したこと、悲しんだこと、愛を感じたこと…
そんな懐かしい思い出話に花が咲く。
デザートを違った視点で見つめて、アーティスト達とカタチに残してみたいと思う。
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自分でSOSを解決できない人はどうなのだろう。
例えば、障害があり、会話ができない人、身体の行動が限られている人、他人に頼れない人。
社会からサポートを受けている人にとって、自分で意思を伝えることができないと、意外と、求める満足を得ることが難しい現実に気づく。
「福祉」とは辞書で引くと「等しくもたらされるべき幸福」という意味がある。
障害者権利条約が締結されたことで、障害者の差別解消法や、合理的配慮の努力義務、障害者雇用促進法など
次々と新しい制度が生まれている。
このことは、1歩ずつ生きやすい社会になってきている感じがする。
が、それに実際に取り組む私たちの意識は高まっているのだろうか。
今回、「贅沢と満足」をテーマに、私たち1人ひとりが、生きることに向き合うヒントを考えてみる。
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